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[番外編]もろみの見た夢(3)全く新しい製法はこうして生まれた
「SHOCHU LABミーティング」のメインテーマはこのあたりから。開発担当者の松木さんの話も、次第に熱を帯びてくる。「もろみの見た夢」の製法が、これまでの焼酎とどう違うのか、また開発の舞台裏に話が進んだ。

こちらが通常の焼酎製造の工程。
もろみの期間は20日間程度。

「もろみの見た夢」の場合、一次&二次仕込・アルコール発酵終了後すぐ蒸留を行わずに、
もろみを樽に詰め熟成させる行程
がある。
樽の中での熟成期間が3ヶ月。
つまり、もろみの期間が約4ヶ月と、通常に比べかなり長くなっている。
するとどうなるのか?

もろみ熟成中に酵母が自己消化を起こす
自己消化?
もろみへのエキス分の放出。
もろみは、ぽこっぽこっと1個が2個に、2個が4個にと増殖してゆく。
そして活動が停止した段階で、通常は蒸留行程に入り発酵期間終了となるが「もろみの見た夢」ではそこで樽熟3ヶ月になる。
すると、おのおのの酵母が、持っていた酵素とか旨味とか有機酸を、外にぼこっと放出。
ふむふむ。
一方、もろみ熟成中も「麹」の酵素は働き続ける。
麹の酵素の役割は「はさみ」。
酵母がいなくなっても、はさみでチョキチョキ切り続け、“糖化”が起こる。
糖を食べていた酵母は現在活動停止中。
それで、糖だけが残ってしまう。

糖以外のタンパクも、ちょきちょき切られてアミノ酸などになる。
これも酵母が栄養源として食べることはなく、もろみの中にアミノ酸やペプチドが残り、それが蒸留行程でより複雑な香り・味を作り出す。
多ければ多いほど複雑さは増す。
「カレーと一緒のイメージかなと」

その結果!!!

この新製法、特許出願中とのこと。
ちなみに「乳感」、文字で見ていたときにはなぜか「ちちかん」と読んでしまっていたのだが、「にゅうかん」だった。乳(ちち)っぽい焼酎って、どんななんだろうと思っていたのは、ちょっとした勘違いだったようだ。

こんな製法がどうして生まれたのか。

開発秘話へと話が進んだ。

最初、松木さんに課せられたミッションは「米焼酎の新商品開発」だった。
これまでにない味や香りを作っていきましょうと。
そして一年間の研究開発の後!!!
遂に!
・・・ではなく、

「米焼酎の開発が、事実上ペンディングに“させらてしまいました”」
「ちょっとだけ恨みがこもっていますが大丈夫ですか?(笑」
と、すかさず司会の突っ込み。
「ですが、一年ずっとやってきたのであきらめきれずに、いろんな製造方法を他にも試して、焼酎の造りわけとか差別化を試していました」
そして、いろいろある中で、もろみの段階での熟成試験に着手したとのこと。

翌年観察したときに、もろみの色が変わり、香りにもちょっとずつ変化が出てきたことを確認。
翌月、またもろみの香りが変わっていて、なんとなくだけど清酒の熟成酒に近いなあと感じたとのこと。
そして蒸留したものを、社内の「アイテム提案会」なるものに提出。
そこでまずまずの評価を得るにいたる。
「樽に詰めてみたら?」
ということで、樽詰実験。

この樽、実は2Lとちっちゃい実験用の樽。
一ヶ月目で蒸留してみて、社内で見てもらったところ好評価。

今度は、狭い研究所に250Lの樽が出現!
いっきに100倍以上になっちゃうんだ~。
そして遂に工場生産の協力体制を整え、
2007年6月に念願かなって工場での生産に着手。

松木「これ、自分の手なんですけど・・・」
司会「自分で写真撮ってるんですか?(笑」
松木「ええ、うれしくて~」
ほんと嬉しそうだった。

もろみの泡ぶくぶく写真。
やはり嬉しくて何枚もばしゃばしゃ撮ってしまったうちの一枚とのこと。
後で別の研究員の方との話の中で、
あんなどろどろしたもろみを樽に詰めてみようという発想そのものが、普通はでてこないと言っていた。
「だって、出てこなくなっちゃうかもしれないんですよ」
確かに~。
そう言われれば、確かにすごく斬新な発想な気がした。

おニューのピカピカの樽にもろみを詰めている、作業着姿の松木さん写真。
「自分も手伝いというか、やらしてもらい、行っております」
「後ろの人に『大丈夫かい?』みたいな感じで言われながら、手元あやしく」
一生懸命作ってる写真とか見たり、本当に満足げな声で「嬉しくて」連発されちゃうと、
やっぱめちゃめちゃ共感してしまう。
別の方が「自分で生み出した商品は子供と同じ」と言っていたけど、すごく伝わってくる。

「長い時間、夢を見ておりました」
そう締めくくった松木さん。
ここで、テイスティンググラスに入った「もろみの見た夢」が全員に配られた。
> 続く
▼SHOCHU LAB(アサヒビール)公式サイト
執筆者:東京ビアガーデン情報館管理人 和田
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